幽霊飴

六道の辻(京都の東山にある、古くからの葬送の地であった鳥辺山の麓にあって、あの世とこの世の境域と言われる場所)に伝説の飴を売る「みなとや幽霊子育て飴本舗」があります。

時は、慶長四年(1599)、うだるような蒸し暑い夏の日々は過ぎ、朝夕は幾分涼しさを感じる長月にさしかかろうという頃のことです。

六道の辻に店を構える飴屋の主人惣兵の所に、毎夜、飴を買いに来る女がおり、不審に思った主人が女の後をつけて行ったが六道の辻から清水坂を通って鳥辺山の墓地にさしかかった時、女はあたりを見回したかと思ったとたん姿を消してしまいました。家に帰り夜が明けるとすぐ寺を訪ね住職に事の仔細を話し、住職と一緒に女が消えた場所に行ってみると新しい盛り土があり、中から赤子の泣き声が聞こえてくるので急いで土を掘り返し、棺の蓋を取ってみると亡き女の横に赤子が飴をしゃぶっていました。住職は、「亡くなった母親が墓の中で赤子を生んで、お乳が出ないので幽霊になって飴を買い求めて育てていたんじゃな」と言い、一同は涙を抑える事ができませんでした。

現在の店の人に、お話を伺ったら飴を、入れていた盥もお金をいれる木箱も重くて一人では持ち上げられないそうです。

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